凸庵の生存戦略

とあるベンチャー企業でプログラマをやっていて発達障害(ASD)をもつ私の生存戦略や技術ネタなんかを書いていきます

誰かができることはうまくできないけど、誰かができないことをうまくできる価値

以前から発達障害を抱えた人のお話で「発達障害を抱えている自分が何のために生きているのかを模索している」といった話題を目にすることが多いなぁと思っています。

万人にとっての答えではないと思いますが、それについて私が考えていることを文書にしてみたいと思います。

誰かができないことができることの価値

想定読者と要点

以下のような方の参考になるかもしれません。

  • みんなができていることが自分だけできなくて辛い思いをしている
  • 自分には価値がないと思ってしまっている
  • 生きる意味を見出せない

要点は以下の通りです

  • 自分ができないことを受け入れる。その代わり同じ結果を得ることができる代替手段を見つけよう
  • 今までの経験や考え方が、自分がほかの人より得意なことを生み出す
  • できることできないことが違っているからあなたと私が生きている意味がある

それでは本編スタートです。

自分ができないことにフォーカスすると生きるのが辛くなる

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発達障害の説明をするとき、多くの場合できないことにフォーカスして語られます。

これは障害がない人なら容易にできることができない というのが障害と呼ばれる理由だと思うのでしょうがないことなのだと思います。

だからといって自分のできないところにフォーカスして、自分ができないことを数え上げていくのはとてももったいないと思います。

「障害を持ってる人はその分他の人より優れているところがある!」なんてことを言いたいわけではありません。
単に自分ができないことを見つめながら生きていくのは辛いと思うからです。

ではどういう考え方にしていけば良いのでしょうか?

できない自分を受け入れる

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まずは誰にでもできることができない自分を受け入れましょう。

できないものはできないのです。しょうがないのです。

私はワーキングメモリが小さいので、暗算が苦手です。計算していく端から前の計算結果を忘れていってしまいます。
まっすぐ線を引くこともできないので、絵をきれいに描くことができません。
人の気持ちもよくわからないので、相手が言って欲しいことを言ってあげることもできません。

同じような苦手を持っている方がどう考えているかわかりませんが、私はそれらができなくてもしょうがないと思っています。

その代わり、他の人にでもできることにはたいてい他の手段が用意されています。その代替手段を探します。

できないことの代替手段を探してみよう

そもそも私は、誰にでもできることにはそれほど価値がないと考えています。

理由は前述の通り誰にでもできることには代替手段が用意されているからです。

暗算ができなくてもスマホや電卓があれば正確に計算できます。
手で絵を描かなくても、CADやペイントツールなどを使えば十分にきれいな絵を描くことができます。
相手が言って欲しいことを言ってあげれなくても、相手が考えていることを聞いてあげることができます。

無理に苦手な土俵で戦わなくてもよいのです。
誰かから言われた方法を愚直に真似する必要はまったくありません。
自分ができないことは、同じ結果を得ることができる別の方法を探してみましょう。

そのためには、自分は何ができないのかを把握しておく必要があります。
自分ができないことを把握するためには、できないことをできないと認める必要があります。

実際にやってみるとできないことを認めるのはかなり難しいと思います。
しかしそこから考えを深めていって代替手段を見つけることができるようになれば、自分ができないことがあまり気にならなくなっていくと思います。

これができるようになると生きていくのがとても楽になると思います。

自分が他の人よりできることを見てみよう

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自分ができないことが気にならなくなってきたら、気持ちにゆとりがでてきます。
そうなってから自分ができることを見つけていけばいいのだと思います。

自分ができないことがそれなりに見えてくると、同時に自分ができることが見えてくるようになると私は思います。
できないことにとらわれていると、自分が得意なことでもそれをもっとうまくやる人と比べてしまうからです。

余裕が出てくれば誰かと比べなくなるため、自分自身について落ち着いて考えることができるようになると思います。 なのでまずは焦らず自分ができないことを見極めて、それからできることを見ていきましょう。

自分と完全に同じ人間がいないように、他の人と完全に同じ人もいません。
つまり自分ができることとできないことの組み合わせ、そして物事についての考え方まで完全に一致している人間はこの世に存在しません。

それぞれがそれぞれの得意分野と不得意分野を持っているのです。 自分が得意なポイントに気づくことさえできれば、他の人よりもうまくやれることをいくつか見つけることができると思います。

自分にできることの見つけ方

私は自分にうまくできることは今までの経験や考え方に大きく依存していると考えています。

優秀なプログラマは効率よく物事をこなしたり、論理的思考が得意でなければいけない というイメージがあると思います。
しかしそれだけではありません。

例えばものをきれいに配置したりカッコいいデザインが好きな人は、デザインを作りながら自分で画面も作れる優秀なプログラマになれます。
例えば物事の共通点やルールに気づくことができる人は、使い回ししやすい美しいプログラムを作れる優秀なプログラマになれます。
例えば論理的に考えるのが苦手だけど直観が冴えている人は、開発が停滞した時や問題が見つかった時に突破口となるアイディアを生み出せる優秀なプログラマになれます。

これらの例では「自分の興味や考え方」と「プログラミング」を組み合わせることで優秀なプログラマになれるということを書いてみました。
このように優秀なプログラマ像は一つではありません。
他の職種だったり役割についても同じことが言えることでしょう。

何かの能力がほかの人と比べて飛びぬけていなくても、自分が普通にできることをうまく組み合わせることができれば、他の人には生み出せない価値を作り出すことができると私は考えています。

あなたと私が違う人間だからそれぞれに価値がある

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他の人と違うところに価値は生まれると私は考えます。

極論を言えば、みんな同じことができて同じことを考えているのであれば、私とあなたが別の人間である必要がありません。
世界中の人間が完全に同じ遺伝子を持っていたら、免疫を持っていない流行り病で全滅してしまうでしょう。

私とあなたが違う人間で、得意分野が違って考え方が違うから、私もあなたも別の個体として生きている意味があるのだと思います。

それぞれができることとできないことを尊重し、それぞれを組み合わせていくことでひとりではできないことができるようになります。
みんなが同じ考え方、同じ経験、同じスキルしか持っていなければ、新しい技術や考え方は生まれません。

人と違うことを受け入れて、誇りを持つことができるようになれば道は開けてくると思います。
難しいことだとは思いますが、試してみる価値は十分にあると思います。

私が提供できる価値

最後に私が周りの人に提供していると考えている価値というか特徴を書いておこうと思います。

具体例になればよいのですが。。。

  • 感情論を横に置いて、必要であれば合理的な意見を言うことができる
  • 長時間ひとつのことに集中し続けることができる
  • 他の人がミスしてもそれ自体を責めず、解決策や改善策を考えて実行することができる

見方を変えればどれもウィークポイントになるかもしれません。
しかし私はこれらが私の提供する価値だと考えています。

クロージング

いまでも私ができないことに関してとやかく言ってくる人はいます。
昔はすごく気にしてしまい傷ついてしまっていましたが、いまではそれほど気にしていません。
代替手段が見つかりそうならそれで次からは対応できますし、代替手段がないならベストを尽くしてあとはあきらめるからです。

こんな生き方なのでつまずくところではつまずきますが、自分がみじめになることは少なくなったので生きているのが辛くなることは減りました。

みんなができることができないために辛い思いをしている方に、こんな人間もいることが伝わればよいのですが。

ここまで見ていただきありがとうございました。
見ていただいた方にいいことがありますように。