凸庵の生存戦略

とあるベンチャー企業でプログラマをやっていて発達障害(ASD)をもつ私の生存戦略や技術ネタなんかを書いていきます

周りの空気が読めない振舞いをしているとき私はこんな感じで判断している

最近仕事で力を使いすぎているのか、全然ブログを更新できていません・・・。
仕事のヤマは越えたのですが、一度ペース配分を変えてしまうと元の持続可能なペースに戻すのが大変なものですね。
自分がどのくらい疲れているのか自分でうまく把握できていないことも問題なのだと思いますが。

さて、今回はASD自閉症スペクトラム障害*1)の特徴である「周りの空気が読めない」という点について当事者目線で書いてみようと思います。
はたから見ているとなんでそんなことをしてしまうの?なんて思ってしまうこともあると思います。
そういうとき、当人はどんなことを考えて判断しているのかにフォーカスします。

とはいえ、万人に当てはまるわけではなく「私の場合はこう判断している」というものなので、ご参考程度にご覧いただければ幸いです。

f:id:totsuan1545:20180412212819j:plain

想定読者と要点

以下のような方の参考になるかもしれません。

  • 周りにいるASDのひとが何を考えているのかを知りたい
  • 空気が読めないと言われることが多いけど何がどう悪いのかわからない

要点は以下の通りです

  • 相手は自分と同じように考えているわけじゃない という認識がないのがだいたいの原因
  • 自分の感情や考えを相手に伝える必要性を感じてないこともある
  • 上のふたつが原因で相手の気持ちを想像したり自分の考えを伝える経験が不足している

それでは本編スタートです。

空気が読めないってどういうこと?

よくASDの特徴として「周囲の空気が読めない」とか「協調性がない」と言われることが多いと思います。
例をあげると・・・

  • 「今日○○っていう(悪い)ことがあったんだ・・・」と愚痴ったら「それは今度からこうしたほうがいいね」と答えてきた
  • ドラクエって面白いよね!」と言ったときに「スライムより弱いぶちスライムっていうのがいるんだよ!そいつはね・・・」ということを言ってくる
  • ある手順に従って作業してほしいとお願いしていたのに全然違うやり方で作業してしまう*2
  • 愉快なことが起こってみんなが笑っているときにひとりだけ真顔
  • ひとりでいることが多いので気をつかって話しかけてあげても、全然楽しそうじゃないし話も続かない

などなど。書いてて過去の苦い記憶を思い出してしまいます。

正直当事者なのでこれらの例示がどのくらい日常で出ているのかわかっていない部分がありますが、巷でよく言われていますし自分でも後から気づくことがあるので結構よく起こっているのだと思います。

どうしてこんなことになってしまうのか?

f:id:totsuan1545:20180413000506j:plain

はっきり言ってなぜこんなことになるのか、はたから見ていると全然わからないと思います。
まったくもって不合理的だし、目の当たりにした時は理解ができなくて人間性を疑ってしまうことでしょう。

しかしもう一歩踏み込んで、なぜそうしてしまったのかを知ると、その人の見方が変わるかもしれません。
もしかしたら関係性もそれまでよりもよいものになっていくかもしれません。
そうなることを期待して、先の例を使って自分の場合なぜこんなことになってしまうのかを書いていきます。
ご参考になればよいのですが。

愚痴にアドバイスを返してくるとき

f:id:totsuan1545:20180413000944j:plain

一般的に愚痴には共感してほしいという共通認識があると思っています。
「今日こんなひどいことがあったんだ」と話したら、「それはきつかったね」とか「大変な目に合ったんだね」というように共感する言葉をかけてもらいたいものだと思います。

しかし、私にはそういう認識がありません。そのため
この人は大変な目にあったらしい。それは良くないな。次に同じことが起こらないように何か手を打ったほうがいい。
と考え、再発防止策や改善策についてアドバイスを始めてしまいます。
最近は「こういうときはアドバイスじゃなく共感するような声掛けを!」なんて思うことも出てきてはいますが、気づくとアドバイスを始めてしまっていたりします。

本人も気を付けているつもりでも何ともならないことが多いので、 周りの方々につきましてはある程度諦めてもらうほかないかもしれません・・・。
困っている人のために力になりたい気持ちはあるのですが、その表現方法が相手の求めているものと違うんですね。

最初の話と全然違うことを話し出す

f:id:totsuan1545:20180413000048j:plain

これも当事者以外のひとからはわけがわかならいところだと思います。
こういうやり取りになってしまうパターンは、私の場合ふたつあります。

  • 自分が話せるネタが見つかったのが嬉しすぎて話過ぎてしまう
  • 自分の頭の中で連想したことをそのまま話してしまう

自分が話せるネタが見つかったのが嬉しすぎて話過ぎてしまう

私は日常会話が苦手です。こどものころから何を話せばいいのかわからず、自分から話すことができませんでした。
長いことそういう生活をしていたので、たまに日常会話で自分がスラスラ話せる話題が見つかるとつい話過ぎてしまいます。

  • 普段全然話せなくて悪いなぁと思っていたからまだ話さなきゃと思っているから
  • 頭の中にある情報を全部話したくなってしまう衝動に逆らえない
  • 話の主導権を握るのに慣れていないのでどこで相手にボールを返したらいいのかわからない

だいたいはこのどれかの原因で話し続けてしまいます。
自分としては寡黙キャラを貫き通すことで何とか対策をしていますが、お酒を飲んだときなんかはだいたい話過ぎてしまいます。
わかっていても対応するのが難しいんですよねぇ。

自分の頭の中で連想したことをそのまま話してしまう

嬉しくて話すのはまだ共感できるところもあると思いますが、こちらはもう本当にどうしようもないと思います。
社会人になる前はこのパターンが相当多かったです。

自分が考えていることを相手は把握していない という前提を理解していないとこういうことが起こります。
私の場合は頭ではわかっていたのですが、実際にはつい2、3ステップ飛ばして自分の頭の中で連想した内容を話してしまっていました。
学生時代はよく友人から「自分が考えていることを周りの人たちも同じように考えているわけじゃないよ」と毎日のように言われていました。*3

これについては「どうしてそう思ったの?自分にはきみがどうしてそういったのかよくわからなかったんだけど・・・」というように、なぜそう考えたのか本人に聞いてみて、可能であれば毎回説明してもらうのが良いと思います。
その際、本人が考えていることを相手も同じように考えているわけではないことを意識してもらうよう質問できると最高だと思います。
きっと本人が考えたことを説明してくれて、独特の考えを一緒に楽しめるようになると思います。

最初お願いしたことと違う手順で進めてしまう

f:id:totsuan1545:20180413000604j:plain

これは仕事に就いてから表面化することが多いトラブルだと思います。
これも大きくふたつの理由があると思います。

  • 途中で迷ったんだけど質問できなかった
  • お願いされたやり方よりも自分のやり方のほうがいいと考えている

途中で迷ったんだけど質問できなかった

私はこのパターンが多かったです。
上司が忙しそうだったり、どう質問したらいいのかわからなくて結局そのままやってしまっていたり。
それまでの経験で、質問すると怒られると思ってしまい委縮してしまうケースもあると思います。

この場合周りの人ができることとしては、

  • 定期的に「どの辺まで進んだ?」と声掛けをする
  • 困っている様子だったら「何か迷うところとかなかった?」と声をかけてみる

よくわからない質問をしてきた場合は以下の順で説明してもらうようお願いする。

  • 最初にどう進めてどこまで進んでいるのかを説明する
  • 次にどこで躓いているのかを説明する
  • 最後にどう考えてやってみたら躓いたのか詳細を話してもらう

少し前のところでも触れましたが、本人は相手は自分と同じように考えていると無意識に思い込んでいることが多いので、質問する際に当人しか知らない前提条件や状況を説明しないことが多いです。
するとよくわからない質問になってしまい、質問された側がイライラしてしまいます。
そして「質問すると怒られてしまう」という記憶が残ってしまい、より質問しなくなってしまいます。*4

私も意識して前提条件を話せるようになったのはここ数年のことなので、社会人になってから10年近くかかってしまいました。
何年かかかってしまうかもしれませんが、少しずつでも改善していくと思います。
根気強く声掛けと、質問の中でどこがわからなくて何を知りたかったのかを説明していただけると助かります。

お願いされたやり方よりも自分のやり方のほうがいいと考えている

私はほとんどこのパターンはないです。
もし自分のやり方に固執してしまうような場合、実際にやる前にひと通りどうやろうとしているのか説明してもらうのが良いと思います。
抜けている場所やミスが起こりやすそうな場所があったら、その点を指摘して説明したやり方であれば実績もあって大丈夫であることを伝えればすこし聞いてもらえるかもしれません。

あるいは先にもっとうまくやれそうなところがないか聞いてみて、本人からの質問についてなぜこの手順でやってもらうのかを説明するのもいいかもしれません。
大抵はミスが起こらないようにしたり、発生した問題にすぐ気づけるよう手順が設計されていると思いますので、その点を説明すればある程度手順に従ってくれるかもしれません。

正直自分がそういうタイプではないので、かなり想像で書いています・・・。

楽しい雰囲気なのに真顔

f:id:totsuan1545:20180413000629j:plain

実は一緒に楽しんでるけど表情を変えるのを忘れているか、何が楽しいのかよくわかってないかのいずれかだと思います。私は前者のことが多いです。

楽しんでいることを表現しないことがある

こどものころから私は、楽しんでいるのであればそういう表情をしたり発言をしないと周りの人に伝わらない ということがよくわかっていませんでした。
相手も自分と同じように考えている と思っているところ大きいのだと思いますが、そもそも周りに伝える必要性を感じていなかったりもするので難しいところです。 *5

そんなときは「楽しんでる?」なんて声をかけてもらえると本人はうれしかったりするので、軽い気持ちで声をかけてあげるとにっこりしてくれるかもしれません。

何が楽しいのかよくわかっていない

そういうひとは楽しいと感じるポイントが他のひととずれているのだと思います。
とはいえ共有する経験や価値観が違うと楽しいと思うポイントがずれてしまうものだと思います。

私としては楽しいと思うポイントが違うことはとても普通なことだと思いますので、問題があるとは思いません。
しいていうことがあるとしたら、周りの人が笑ってたら本人も一緒に笑っておくと人付き合いがスムーズになるよ というくらいです。
周りの方々は真顔になっていてもあまり気にすることはないと私は思います。

ひとりでいるときに話しかけても全然楽しそうじゃないし話も続かない

f:id:totsuan1545:20180413000714j:plain

私の場合、そもそも誰かと一緒にいるよりも自分ひとりのほうが楽な時が多いです。なので意図してひとりでいることもよくあります。
もしかしたらその方も同じなのかもしれません。

ひとりのほうが楽な理由はいろいろありますが、まとめると他人とコミュニケーションをするのが苦手だからです。
長らくそういう生活をしていると、ひとりでいることを楽しむ術をいろいろ身に着けていたりします。

先にも書きましたが、私は日常会話が苦手です。なので話しかけてもらっても楽しむよりも困ることのほうが多いです。
気をつかってもらうのはありがたいと思ってはいるのですが、なにぶん日常会話が苦手なので楽しそうな感じになりません。
でも結構うれしかったりするので、楽しくなさそうでも話が続かなくてもありがたいと思っています。

非難されたり邪魔者扱いされるような経験をしてきた当事者が多いと思いますので、気にかけてもらうことに慣れてはいませんが気にかけてもらうこと自体はものすごくうれしかったりします。
でも会話が苦手なのでご容赦いただけると助かります。

クロージング

実際のところ本人も困っていたり周りに迷惑をかけていることを認識しているけど、何が悪くてどうすればいいのかわからないというパターンが多いと思います。
今回の記事が、周りにいる空気を読めないひとがどんなことを考えているのかを知る手がかりになれば幸いです。

つらつら書いていたら結構な文字数になってしまいました。
久しぶりに書いたのでノってきてしまったのかもしれません。

長くなってしまいましたが、ここまで見ていただきありがとうございました。
見ていただいた方にいいことがありますように。

*1:アスペルガー症候群とも呼ばれていました

*2:そして失敗して問題になることが多い・・・

*3:都度指摘してもらっていました・・・いい友人を持ったものです

*4:そしてミスを繰り返してしまいます

*5:私は中学校に入るくらいまで自分の感情を表現する必要性がないと思っていました