あいまいな指示や質問が苦手な私はそのときこう感じている
ASDの特徴でよく言われるものとして「あいまいな指示をされることが苦手」というものがあります。
私も苦手ですし、同じように苦手に感じている当事者の方もいると思います。
しかし当事者でない方にとっては「あいまいなものが苦手ってどういうこと?」「はいはい、言われたことしかできないのね」なんて思うのではないかと思っています。
この辺りをうまく言語化できるかわかりませんが、今回は私があいまいな指示や質問をされたときにどう感じているかを書いてみようと思います。
想定読者と要点
以下のような方の参考になるかもしれません。
- あいまいが苦手ってどういうこと?と思っている
- 自分はあいまいが苦手だけど他のあいまいが苦手なひとがどう感じているのか知りたい
要点は以下の通りです
- あいまいな指示をされた時は選択肢が無限に出てくるのでフリーズする
- あいまいを相手にするときは場面ごとに自分なりの前提条件を決めて対応する
- バグを見つけるときに重宝してるよ!
それでは本編スタートです。
あいまいな質問をされたときどんなことを考えてる?
最近調子どう?
これは私が苦手な質問のひとつです。
他のひとがどう考えているのかわかりませんが、私がこう言われた場合色々なことを考えます。
- 最近っていつ頃?今日?3日前くらい?ここ一週間?もしかして一ヶ月とか?
- 調子って何の調子?身体の具合?仕事の進捗?プライベートの充実具合?
- どうって何?この人は何を知りたいんだろう?どんな意図でこんな質問をしてきたんだろう?
以上が一例です。
質問を受けた時から数秒で、上に書いたようなことをいっぺんに考えてしまいます・・・。
おそらく相手からすると10秒くらいフリーズしているように見えるんだろうなぁと思います。
そして10秒くらい考えた結果の応答が「最近は結構元気です」みたいなしょうもない答えだったりすることも多いです。
これも相手からすると、「このひとはこの回答をするためになんでこんなに時間かかったんだろう」なんて思われるんだろうなぁと思います。
あいまいな指示を受けたときも似たような状態になっていて、あいまいな指示が何を意味しているのかについて考えてしまい、その先のことを考えることができなくなってしまいます。
なのでやはりフリーズしてしまったり、指示されたことをうまく遂行できない なんてことがあります。
制約条件がわからないと考えに沈んでいってしまう
昔からこんな有様だったので、自分なりにどうしてフリーズしてしまうのかを考えたことがあります。
その結果行きついたのは、何の制約条件もないと考えることで手一杯になってしまうという事実でした。
つまり相手からの質問の意味や意図、目的などについて考え込んでしまい、答えを考える余裕がない ということがわかりました。
もしかしたらこういう症状がないひとにとってはよくわからない感覚なのかもしれません。
なのでイメージをつかんでもらうため、ひとつ例えを出してみようと思います。
知らない言語のゲームをよくわからずプレイするときのような状態
GooglePlayなどでまったく知らない言語の独創的なゲームをプレイすることを想像してみてください。*1
操作方法もゲームの目的もまったくわからないけれども、画面をタップすると画面のキャラクターが動くのでアクションゲームらしいことはわかる。
でも何をどうやったらゲームクリアになるかわからないままキャラクターが爆発してゲームオーバー画面になってしまった。
この間にかなり困惑したりいろんなことを考えたりするのではないかと思います。
あいまいな質問を受けた時に私がフリーズしているときの感覚はその状態が結構近いと思います。
あとは街中を歩いていたら突然見知らぬ集団に囲まれて、カバディをやらなきゃいけなくなった
みたいな状況で味わうであろう感覚も近いかもしれません。*2
あいまいな質問に対する自分なりの対応策
毎度毎度フリーズしていてはどうしようもないので、自分なりの対応策を考えました。
それはおおまかにこんな感じです。
- あいまいな質問をされたときは最初に思いついたことを話す
- あいまいな指示を受けたときは、あいまいじゃなくなるまで質問する
あいまいな質問を受けたら適当に返して大丈夫
あいまいな質問をされる場面は多くの場合、日常会話の一部なのではないかと思います。
私の経験上日常会話であいまいな質問をされる場合、求められていることは正解となる答えを返すことではなく何かしら返答すればいいことが多いと感じています。*3
そのため、あいまいな質問をされたときは適切な返事をすることよりも速やかに応答することを優先していいと私は考えています。
もっというと、誰かを中傷するような内容でなければ適当に返しても大丈夫だと考えています。
なので私は、そのとき最初に思いついたことをパッと答えてしまうようにしています。
もちろん時には何も思いつかないときもあります。 そういうとき用に「いい感じですよ」みたいなテンプレ回答を用意しておいて、困ったらテンプレ回答をするようにしています。*4
私はこの手の日常会話は3wayハンドシェイクのSYNとACKのようなものだと解釈しているので、SYNにACKを返す感覚で質問に何かしらの回答をすれば多くの場合問題が起こらないと思っています。*5
慣れるまでは「仕事は順調ですよ」とか「体調はいい感じですね」のように、"何" が "どうなっている"のかを話すようにしていました。ご参考までに。
あいまいな指示をされた時はしつこく質問する
問題はあいまいな指示をされたときです。
あいまいな質問をされたときとは違い、明確に求められていることが存在する状況です。
このような場合、私はいまのところ正攻法で攻めるしかないと考えています。
最も避けなければならないのは、
指示があいまいでよくわからなかった ↓ わからないけど自分なりに良かれと思うことをやってみる ↓ 大事故発生
の流れだと思っています。
こうなると指示してきたひとからの信用がなくなってしまいますし、自分自身が委縮してしまってその集団に居づらくなってしまいます。
この最悪のシナリオを避けるためには、あいまいな点を排除するしかありません。
そもそもあいまいな指示をされた場合、誰がその指示を遂行しても指示したひとが意図していたことと違うことをしてしまう危険があります。
あいまいな指示を意図通りに遂行できるひとはきっと、指示したひとが何を意図しているのかを何らかの方法で情報収集して、その情報をもとにしてあいまいな点を補完にしているのだと思います。*6
そういうひとと同じことができないのであれば、違う方法であいまいな点を補完していくしかありません。
私には超能力めいた共感能力はないので、指示されたことの何があいまいなのかを考えるようにしています。というかそれしかやりようがありません。
指示を聞いていて「なんか漠然としていてよくわからないなぁ」と思ったときには、可能な限りその場で質問するようにしています。
というのも私はワーキングメモリが他と比べてかなり弱いため*7、その場で質問できないと何があいまいだったかを忘れるか相手が何を指示しているかを聞き取れないかどちらかになってしまいます。
なので可能な限りすぐに質問するようにしています。*8
実際に作業を行っているときにあいまいな点に気づくこともあります。*9
その場合はある程度あいまいな点をまとめて質問するようにしています。
経験上、あいまいな点をそのままにしておくと大事故が起こります。
大事故を起こすくらいならしつこいなぁと思われてもあいまいな点を質問していくようにしています。
この特徴が効果的に働く場面ってあるの?
いままで困ったことばかり書いてきましたが、いいこともあります。
制約条件がないと同時にいろんな可能性を考えてしまう私の特徴は、プログラミングのときにものすごい長所となっています。
たとえばバグが見つかったときに、その原因を考えるときにも役に立っています。
同時にいろんな可能性を考えるのですが、そのとき原因になりえないものを消していくと素早く原因になりそうなポイントを絞り込めます。
あとはプログラミングする際に実装方法に悩むことはよくあると思います。 そういう場合、悩む理由は甲乙つけがたいトレードオフがあったり、何か決め手に欠けていたりすることが多いと思います。
そういうとき、あいまいな指示を受けた時と同じロジックで考えることで突破口が開けることがあります。
何を明確にすれば判断を下せるかを突き詰めて調べていくと、現実的に最適な方法を選ぶことができたりします。
この思考は普段からやっていることなので、結構いい具合にできているのではないかなぁと思っています。
クロージング
この手の特徴は基本的にはネガティブなポイントになりがちですが、使い方や場面によってはうまく活かしていくこともできるのではないかと思っています。
こういう自分なりの特徴の活かし方みたいなものをもっと文章化できるようになりたいものです。
完全に一致しなくても読んでくださった誰かの参考になるかもしれないですからね。
ここまで見ていただきありがとうございました。
見ていただいた方にいいことがありますように。